行政書士試験記述式問題集比較(2/2)

行政書士

(本日のコンテンツ)
1 大原メソッド!行政書士40字記述がラクラク書ける本(大原)
2 2021年版出る順行政書士40字記述式・多肢選択式問題集(LEC)
3 行政書士試験対策に必要な書籍

皆様、おはようございます。

本日は、昨日御紹介できなかった記述式問題集の解説をしますが、「みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集2021年度(TAC)」は、あまりに突っ込みどころが多いので、2022年度版を買い足しました。全過去問の総括後、2022年度になっても同じ過ちを繰り返しているかを確認した上で、御報告の回を設けようと思います。

また、「みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集2021年度(TAC)」は、実は、「合格革命行政書士40字記述式・多肢選択式問題集2021年度(TAC)」の劣化版です。例えば、行政書士試験合格体験記に「みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集2021年度(TAC)」の判例(最判平元.2.17)を元に作成された問題のダメぶりを書いていますが、「合格革命行政書士40字記述式・多肢選択式問題集2021年度(TAC)」では、ほぼ同じ問題で、違法を主張する理由に「利用客の大部分が遊興目的のツアー客」などと、周辺住民の法律上の利益と関係のない主張が「きちんと」書かれています。

仮に、どちらか一冊の書籍を買うのであれば、「合格革命行政書士40字記述式・多肢選択式問題集2021年度(TAC)」以外あり得ません。中小企業診断士としては、同じ出版社なのに、何故こんなことが起きるのか不思議です?

おせっかいな気持ちがムクムクと湧き上がる題材なので、いずれ記事にしようと思います。

1 大原メソッド!行政書士40字記述がラクラク書ける本(大原)

買う必要はないと思いますが、現に使っている人用に、注意点のみ書いておきます。

(1)一番の注意点

15頁に(著作権法に抵触しないよう、簡略化しています。)次の①~⑤の要件を挙げて、「①、②及び④については、問題文に事案として記載されているので、記述する必要はありません。」とあります。
①10年間の占有があること。
②所有の意思をもって占有すること。
③平穏に、かつ、公然と占有すること。
④他人の物を占有すること。
⑤占有開始時に善意無過失であること。
行政書士試験記述式の多くの問題は、事案を条文に当てはめさせるものです。すなわち、問題文に記載されている状況が、条文のどの要件に合致しているのかを問うているのです。

とすれば、「問題文には記載されていない要件は何か?」といったような特別の問いでなければ問題文中から読み取れる要件を書きだすことこそ解答なのです。

行政書士試験記述式に「問題文に事案として記載されているので、記述する必要はありません。」などという独自のルールはありません。すぐに気付くとは思いますが、こんなものを信じた日には、とんでもない失敗をします。

(2)その他の注意点

どうも大原には、語呂合わせだろうが何だろうが、とにかく覚えさせればいいというような姿勢があって、大多数の問題に「暗記ワザ!」という「ただの語呂合わせ」が掲載されています。

法律の学習は、「いい国(1192年)作ろう鎌倉幕府(これも大概、歴史学を舐めていますが…)」ではないのです。もっと無意味で酷いものもありますが、例えば、「承継人が悪意なら」とあるのを「性悪なら」と覚えさせたりしています。「悪意」とは、単に「知っている」という意味です。百害あって一利なしなので、使う場合も、この部分は無視してください

法律の概念は、必ず、正しく理解してください。
理解の状態を愚直に反復することが最短ルートです。
そこに裏技も近道もありません。

2 2021年版出る順行政書士40字記述式・多肢選択式問題集(LEC)

こちらは更に買う必要はないと思いますが、現に使っている人用に、注意点のみ書いておきます。

(1)大原と同じ間違いがあります。

(著作権法に抵触しないよう。事案及び解説を簡略化しています。)36頁37頁「即時取得」
(問題文)
・Bは、Aの書店で、古本Zを買った。
・Bは、「荷物になるので帰りがけまで預かってほしい」と言って、古本ZをAに預けた。
・その後、Cは、Aの書店で、(BがAに預けた)古本Zを買った。
・Cは、「スーパーで買い物した後に取りに来る」と言って、古本ZをAに預けた。
・Cが古本Zの所有権をBに主張するには、どのような要件を備えればよいのか。
(解説)
即時取得の成立には、次の要件を満たす必要がある。
①対象が動産であること。
②取引行為により占有を承継したこと。
③前主が無権利者であること。
④占有開始の際、平穏かつ公然の占有で、前主が無権利であることについて取得者が善意・無過失であること。

「こんな店主、いるわけねえだろ!」は、おいておいて、本問は、占有改定と即時取得の判例を問う問題ですが、その解説の中で「本問は、①②③の要件は問題文から明らかですので、④の要件のみ記述すればよいです。」と書かれています。

これは1の(1)に書いたことと同じ間違いです。

(2)社会の実態を無視した事例になっています。

(1)の事例も大概ですが、社会実態をまるで分っていない例が散見されるので挙げておきます。社会実態を正しく把握して法を適用しないと、正しい理解が遠のくからです。
(著作権法に抵触しないよう。事案及び解答を簡略化しています。)40頁41頁「占有の概念」
(問題文)
Aは、BにA所有のコピー機甲を賃貸した
・Bは、現在、甲を利用している。
・Aは、自分の会社の資金繰りに困ったので、甲をCに売った。
・Bが甲を利用したままの状態で、Cが対抗要件としての引渡しを受けたといえるためには何が必要か。
(解答)
AがBに、以後Cのために甲を占有することを命じこれに対するCの承諾が必要

指図による占有移転を学ぶ問題で、それを学んでもらえればいいのですが、まず、あなたの会社でもコピー機のリースをしていますよね。このリースの経理上の処理を御存じでしょうか?

一般にコピー機のリースは、ファイナンスリースで、特約のないときは、リースとあればファイナンスリースと税務署にも判断されてしまいます。仮に本問がファイナンスリースであるとすると、指図による占有移転の問題として成立しません。(所有権は、Bに移転しているので、Aは、他人物売買をしていることになります。)

もちろん、問題文には、「Aは、BにA所有のコピー機甲を賃貸した。」とあり、作問者は、オペレーティングリースのつもりで書いていますし、そのように解けばいいのですが、AにとってBは、リース契約をしていただいているお客様ですよね。

通常のリース契約は、保守契約も込みなので、簡単に契約変更にもならないとは思いますが、AからBに対し、「~貴社に御契約いただいておりますコピー機甲をCに譲渡いたしました。つきましては、弊社との御契約をCとの御契約に変更していただきますよう、お願い申し上げます~」といった感じで、売買の事後処理をするのが考えうる対応であって、「~貴社に占有させているコピー機甲をCに譲渡した。そこで、貴社に対し、以後、Cのために甲を占有することを命じるので、これを承諾されたい~」なんて言うはずないですよね。

なお、所有権移転のファイナンスリースでも、大抵、保守契約は込みで、「以後C」というのは、普通は行わないやり方で、「コピー機で金融って、どんだけ追い詰められてんねん!」とは思いますが、仮に実際の金融をするにしてもコピー機甲を譲渡担保にして、Cは、Bには何も知らせずに、Aに稼ぎ続けさせて金を返させます

せめて「現実にはこんな言い方しないけど、試験勉強のためだから文言どおり書いてね。」ぐらい書いておいてほしいんですが…まあ、その他も色々ありましたが、TACと違い、LECには有益な提案もできそうにないので、この程度にいたします。

3 行政書士試験対策に必要な書籍

一応の解説が終わったので、ここで、行政書士試験対策に必要な書籍を確認します。

(1)過去問解説が理解できる人

模擬試験で180点以上(記述抜き)取れる方であれば、どれか一冊で十分ですが、150点以下(記述抜き)の方であれば、次の本番形式の過去問題集を三冊つぶすことをお勧めします。(間の方は、「行政書士試験の合理的な攻略法について」の2 計測する、そして見直す。を参考に御自身でお決めください。)

  • 行政書士試験過去問集(伊藤塾)
  • みんなが欲しかった! 行政書士の5年過去問題集(TAC)
  • 詳解行政書士過去5年問題集(コンデックス情報研究所)

なお、昨日も書きましたが、
間違った問題の対象となる条文を間違う度に確認してください
また、つぶすという意味は、次のように演習するという意味です。

  1. 一年ごとに問題演習を行う。
  2. 答え合わせをして、解説を読む。
  3. 正解し、かつ、理解している問題は飛ばして、再度、演習を行う。
  4. 答え合わせをして、解説を読む。

3.及び4.を繰り返し、全問を正解し、かつ、理解した時点で、その一年の「つぶし」は完了

(2)過去問解説が理解できない人

初学者の方には、予備校の初学者講座の受講を強くお勧めしますが、どうしても、お金の工面がつかないときは、一か八か、次の書籍で勉強してみてください。(安い古本で十分です。)
なお、勉強の順番は、書いてある順番です。

  1. 伊藤真の法学入門
  2. 伊藤真の憲法入門
  3. 伊藤真の行政法入門
  4. 伊藤真の民法入門
  5. 伊藤真の会社法入門
  6. 伊藤真の民亊訴訟法入門
  7. うかる! 行政書士 総合テキスト(伊藤塾)※条文集が付いています。
  8. うかる! 行政書士 総合問題集 2022年度版(伊藤塾)

2.は、思想的に偏向しているという人がいますが、私は、この程度、目くじらを立てるものでもないと思っています。仮に、あなたが、この本を読んでみて、これはダメだと思う思想をお持ちであれば、伊藤塾は止めた方が無難です。(著者の伊藤真さんが塾長だからです。)

6.は不要だと思われるかもしれませんが、行政事件訴訟は、特別の定めのない場合、民亊訴訟の例によることとされているので、入門書ですし、一回ぐらい頑張って読んでください。

7.の後、過去問題集の解説が分かるようになっていれば、8.には入らず、(1)に入って、過去問題集三冊をつぶしてください。

なお、初学者ではない方は、次の合格革命シリーズでも大丈夫だとは思いますが、仮に、このシリーズだけでは、書籍の文章のイメージが掴めない場合は、多分、まだ条文上の文言と社会的事実がリンクしていないのだと思います。
そんなとき、誰か尋ねることができる人がいれば一番いいのですが、いないときはインターネットで検索してみてください。結構、動画や画像が理解を助けてくれます。

  1. 合格革命行政書士スタートダッシュ
  2. 合格革命行政書士基本テキスト※条文集が付いています。
  3. 合格革命行政書士基本問題集

3.については、上記の8.と同じで、過去問題集の解説が分かるようになっていれば、(1)に入って、過去問題集三冊をつぶしてください。合格のためには過去問題集よりも重要な教材はありません。

さて、次回からは、時々違う話題にそれつつ、全過去問の分析に移りたいと思います。(--;

それでは、本日は、この辺りとさせていただきます。
今後とも、家内安全を第一に、無理のない範囲でお取組ください。

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