【解説】行政書士試験【令和2年度】問題34

時短教材(令和2年度)

問題34正解2
1(誤)最判平成7年6月9日
新規の治療法の存在を前提にして検査・診断・治療等に当たることが診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準であるかどうかを決するについては、当該医療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべきであり、右治療法に関する知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及しており、当該医療機関において右知見を有することを期待することが相当と認められる場合には、特段の事情がない限り、右知見は当該医療機関にとっての医療水準であるというべきである。
2(正)最判平成8年1月23日
【該当箇所:要旨ではありません】
医療水準は、医師の注意義務の基準(規範)となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない。
3(誤)最判 平成13年11月27日
 乳がんの手術に当たり,当時医療水準として確立していた胸筋温存乳房切除術を採用した医師が,未確立であった乳房温存療法を実施している医療機関も少なくなく,相当数の実施例があって,乳房温存療法を実施した医師の間では積極的な評価もされていること,当該患者の乳がんについて乳房温存療法の適応可能性のあること及び当該患者が乳房温存療法の自己への適応の有無,実施可能性について強い関心を有することを知っていたなど判示の事実関係の下においては,当該医師には,当該患者に対し,その乳がんについて乳房温存療法の適応可能性のあること及び乳房温存療法を実施している医療機関の名称や所在をその知る範囲で説明すべき診療契約上の義務がある。
4(誤)最判平成15年11月11日
開業医が,その下で通院治療中の患者について,初診から5日目になっても投薬による症状の改善がなく,午前中の点滴をした後も前日の夜からのおう吐の症状が全く治まらず,午後の再度の点滴中に軽度の意識障害等を疑わせる言動があり,これに不安を覚えた母親が診察を求めたことなどから,その病名は特定できないまでも,自らの開設する診療所では検査及び治療の面で適切に対処することができない何らかの重大で緊急性のある病気にかかっている可能性が高いことを認識することができたなど判示の事情の下では,当該開業医には,上記診察を求められた時点で,直ちに当該患者を診断した上で,高度な医療を施すことのできる適切な医療機関へ転送し,適切な医療を受けさせる義務がある。
5(誤)最判平成14年11月8日
医薬品添付文書に過敏症状と皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)の副作用がある旨記載された薬剤等を継続的に投与されている患者に副作用と疑われる発しん等の過敏症状の発生が認められたことなど判示の事実関係の下においては,当時の医療上の知見において過敏症状が同症候群へ移行することを予測し得たものとすれば,医師は,同症候群の発症を予見し回避の措置を講ずべき義務を負っていたものであり,同症候群の症状自体が出現していなかったことなどから直ちに医師の過失を否定した原判決には,上記薬剤の投与についての医師の過失に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。

(使い方)

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