(本日のコンテンツ)
1 令和7年度(問題44)条文型
2 令和7年度(問題45)判例型
3 令和7年度(問題46)条文型
皆様、おはようございます。
令和7年度(記述式)の過去問分析です。
1 令和7年度(問題44)条文型
(問題文)
問題44 Xは、自己の所有地甲に建築物を建てるために、Y市の建築主事に建築確認を申請したが、建築基準法による建築制限に適合しないとして建築確認を拒否する処分(以下「本件処分」という。)がなされた。Xは本件処分を不服として、Y市建築審査会に対して行政不服審査法に基づく審査請求を行ったが、審査庁は本件処分を適法であると判断し、請求を棄却する裁決を行った。ところが、建築審査会において議事に加わった委員の一人が、当該建築確認につき利害関係を有する者(建築基
準法第 82 条)に当たるという手続上の瑕疵があることが判明した。そこで、Xは、この瑕疵を主張して、抗告訴訟を提起したいと考えている。
主張しようとする瑕疵がどのようなものであり、そのため、Xは、誰を被告としてどのような抗告訴訟を提起すべきか。40 字程度で記述しなさい。
(参照条文)
建築基準法
(委員の除斥)
第 82 条 委員は、自己又は三親等以内の親族の利害に関係のある事件については、・・・(中略)・・・審査請求に対する裁決に関する議事に加わることができな
い。
(センター解答)
裁決固有の瑕疵に当たることから、Y市を被告として裁決取消訴訟を提起する。(36字)
(まるや解説:標準)
建築審査会の瑕疵を主張しろと言う「お題」なので、裁決取消訴訟を選択します。(行政事件訴訟法第3条第3項)
裁決をした行政庁(Y市建築審査会)は、Y市に属するので、被告は、Y市(行政事件訴訟法第11条第1項第2号)
(まるや解答:標準)
Y市を被告として、裁決をしたY市建築審査会の委員除斥違反を争う裁決取消訴訟を提起する。(43字)
【行政事件訴訟法】
(抗告訴訟)
第三条 略
2 略
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4~7 略
(被告適格等)
第十一条 処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。
一 略
二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体
2~6 略
2 令和7年度(問題45)判例型
(問題文)
問題45 Aの配偶者であるBは、Aから法律行為に関する代理権を授与されていないにもかかわらず、Aが所有する高級腕時計甲につき、自身の海外旅行費用に充てるために、Aの代理人と称してCに売却する旨の売買契約(以下「本件契約」という。)を締結した。このような場合におけるCのAに対する本件契約の履行請求の可否につき、判例は、民法 110 条(権限外の行為の表見代理)の趣旨を類推して相手方保護を図る旨を示した。判例は、Cにおいて、どのような場合に上記の類推適用を認
めているかについて、40 字程度で記述しなさい。
(センター解答)
本件契約が日常家事に関する法律行為の範囲内に属すると信じるにつき正当理由がある場合。(42字)
(まるや解説:標準)
問われていることが「どのような場合に上記の類推適用を認めているか」なので、解答は、「その夫婦の日常の家事に関する法律行為に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり」になります。
ただね、よく思うんですけど、出題者の感性は、いつもながら変ですよね。高級腕時計ってどの程度高級なんですか?値段ぐらい書いてくださいよ。
そりゃあ、仮に、1億円の家宝の時計とかなら、日常家事じゃないでしょうけど、売値が数万円までの時計だとすれば、時計としては、十分、高級だけれども、普通は、日常家事じゃないんですか。ま、解答には関係ないんで、いいですけど。
なお、公用文において、体言止めで句点を撃つのは、「とき」と「こと」のみです。
(最判昭和44年12月18日)
一、民法七六一条は、夫婦が相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定しているものと解すべきである。
二、夫婦の一方が民法七六一条所定の日常の家事に関する代理権の範囲を越えて第三者と法律行為をした場合においては、その代理権を基礎として一般的に同法一一〇条所定の表見代理の成立を肯定すべきではなく、その越権行為の相手方である第三者においてその行為がその夫婦の日常の家事に関する法律行為に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、同条の趣旨を類推して第三者の保護をはかるべきである。
(まるや解答:標準)
本件契約がその夫婦の日常の家事に関する法律行為に属すると信ずるにつき正当の理由のある場合(44字)
3 令和7年度(問題46)条文型
(問題文)
問題46 Aは、Bの所有する隣家の火災(以下「本件火災」という。本件火災は、A及びBの故意・過失によるものではない。)を見つけ、消防署に通報した。本件火災は、ボヤ(小火)であったので、これを消し止めることができると思い、Aは、Aの家に備え付けてあったA所有の消火器を用いて消火活動を開始した。この場合
に、どのような法的根拠に基づき消火活動を継続しなければならないか。また、Aは、消火器を使ったため新たな消火器を購入する必要が生じたが、そのための費用
を、どのような法的性質を有するものとしてBに対して償還を請求することができるか。民法の規定に照らして、40 字程度で記述しなさい。
(センター解答)
Aは事務管理に基づき消火活動を継続しなければならず、Bに対し有益費の償還を請求できる。(43字)
(まるや解説:標準)
問が二つあって、一つは、「どのような法的根拠に基づき消火活動を継続しなければならないか」
これは、義務のないことをやっているので「事務管理」と書いてください。(民法第697条第1項、第700条)
次に、「Aは、消火器を使ったため新たな消火器を購入する必要が生じたが、そのための費用を、どのような法的性質を有するものとしてBに対して償還を請求することができるか」
これは、事務管理に要した費用の償還請求ですから、「有益な費用」と書いてください。(民法第702条第1項)
試験では、このような処理になります。
でも、これ隣の家の火事でしょ。
Bに故意過失はないから、場面だけで言えば、緊急避難でもおかしくないですね。(民法第720条第2項)
もっとも、Aは冷静に消火器で火事を消し止めて、Bの家をぶち壊したりはしていませんから、緊急避難は問題になりません。
仮に、ぶち壊しても、ぶち壊すしか延焼を防ぐ方法がなければ、緊急避難なんでしょうねえ。
(まるや解答:標準)
Aは事務管理に基づき消火活動を継続しなければならず、購入費を有益な費用としてBに請求可能(44字)
【民法】
(事務管理)
第六百九十七条 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。
2 略
(管理者による事務管理の継続)
第七百条 管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、事務管理を継続しなければならない。ただし、事務管理の継続が本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかであるときは、この限りでない。
(管理者による費用の償還請求等)
第七百二条 管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
2・3 略
それでは、今後とも、家内安全を第一に、無理のない範囲でお取組みください。


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