【解説】行政書士試験【平成30年度】問題44

時短教材(平成30年度)

詳しくは、こちらで解説しています。

(センター解答)
①A県を被告として、②不作為の違法確認の訴えと農地転用許可の義務付けの訴えを併合提起する。(43字)

※ 丸数字は、理解を助けるため、まるやが付したものです。

(まるや解説)
仮に、Xさんがあなたのところに、本件相談に来たとします。Xさんの目的は、農地転用許可を得ることなので、行政事件訴訟法(以下この記事において「行訴法」という。)第3条第6項第2号の義務付けの訴え、いわゆる申請型義務付け訴訟(農転許可をしろ!)を提起するよう、アドバイスをすることになります。
そして、この義務付けの訴えには、行訴法第37条の3第3項第1号の不作為の違法確認の訴えを併合提起する必要があります、と申し添えます。

ここまでで、②の部分の回答は可能です。

次に、じゃあ誰を訴えるのかというと、Xさんの目的は、農地転用許可を得ることなので、当該許可を行うことのできる者であるA県知事が属する団体であるA県が被告となります。
「あれ、でも時代遅れの不受理をやらかしているのは、B市農業委員会の人で、A県の人じゃないじゃん。併合提起する不作為の違法確認の訴えの被告は、B市じゃね。」と思うかもしれません。
落ち着いて問題文を見てみましょう。参照条文として、農地法第4条が付いています。

付いている以上、必ず、解答に必要なはずです。

で、同条第2項を読むと、Xさんは、B市農業委員会を経由してA県知事に申請書を提出したことが分かります。(ちょっと「等」が気持ち悪いですが、これは、都道府県ではなく、政令市の長等の許可を受ける場合があるからです。参照条文を付けているのだから、同条第1項を略さないでほしいものです。)
ですから、不作為の違法確認の訴えの被告もA県となり、①は、A県のみとなります。(A県がB市農業委員会をきちんと看ていないだけということ。)あと、準用というのは、必要な変更を加えて適用するということです。(第11条を変更して適用)

それはさておき、皆様が、将来、行政書士として「農転」や「補助金(太陽光発電事業は、補助金を受けることができる場合があります。)」あるいは「開発許可(太陽光パネルは、電気工作物なので、原則、建築確認は不要ですが、大規模設置をするときは、当然、大規模な造成を伴い開発許可の対象になる場合があります。)」のお仕事をされるのであれば、太陽光事業というのは、中々、おいしい場合があります。

合格後のため、一度でいいので、日本行政書士会連合会の報酬額統計は、眺めておいてください。

【行政事件訴訟法】
(抗告訴訟)
第三条 略
2~4 略
5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 略
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
7 略
(被告適格等)
第十一条 処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。
一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体
二 略
2~6 略
第三十七条の三 第三条第六項第二号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。
一 当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。
二 略
2 略
3 第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、第三十八条第一項において準用する第十二条の規定にかかわらず、その定めに従う。
一 第一項第一号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え
二 略
4~7 略
(取消訴訟に関する規定の準用)
第三十八条 第十一条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで、第二十四条、第三十三条及び第三十五条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。(以下略)

【農地法】
(農地の転用の制限)
第四条 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。(以下略)

(使い方)

  • 問題は、行政書士試験研究センターのホームページなどから御自分で用意してください。
  • (使い方)よりも上の部分をワードなどにコピーして使ってください。

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