(本日のコンテンツ)
1 信号無視は、道路交通法第7条違反の行為です。
2 簡易裁判所では、最底辺だった。
3 これって、おかしくないですか?
皆様、おはようございます。
私、いい言葉で言えば閑静な住宅街に住んでおりますので、近所に信号付きの交差点(以下「本件交差点」という。)はあるのですが、車も人も全然往来していなかったりするのです。(要は田舎)
で、今や昔になりますが、朝、チャラリラー(死語)と自転車に乗って、本件交差点に差し掛かり、「右よし!左よし!なーんて誰もいないぜ!」と、すーっと信号を無視したところ。。。
そこに飛び出す二人組!
不幸なことに、お巡りさんに捕まってしまったのです。(TT
誰もいないと思っていたぐらいですから、当然、車は一台も走っておらず、人もお巡りさん2人と私だけ…でも、信号無視の嫌疑で、自転車と一緒に写真は撮られるわ、指紋は取られるわ、マジで「令状持ってこいや!」の心の声が聞こえていたわけですが…
まあ、この心の声はさておき、来週からは、行政書士試験関係の記事を書くつもりなので、このイベントを条文に沿って解説してみたいと思います。
1 信号無視は、道路交通法第7条違反の行為です。
まず、自転車は、道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「道交法」という。)の軽車両(道交法第2条第1項第11号)なので、道交法の車両(同項第8号)に含まれます。したがって、自転車は、道交法の車両等となります。(同項第17号)
○道交法 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一~七 略 八 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。 九・十 略 十一 軽車両 次に掲げるものであつて、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のものをいう。 イ 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。) ロ 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、車体の大きさ及び構造を勘案してイに準ずるものとして内閣府令で定めるもの 十二~十六 略 十七 運転 道路において、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)をその本来の用い方に従つて用いること(自動運行装置を使用する場合を含む。)をいう。 十八~二十三 略 2・3 略 |
次に、自転車が道交法の車両等であると分かったところで、道交法第7条をみると、自転車であっても、信号機の信号等に従う義務はあることが分かります。そして、道交法第119条第1項第1号の2をみると、道交法第7条違反は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金とされています。(過失の場合は、道交法第119条第2項の規定により10万円以下の罰金)
というような法的根拠を元に、捕まってしまったのですが、「マジかよ、車ゼロ台でおかしくね?」と思っていると、赤色の切符を渡され、簡易裁判所に出頭するよう命じられました。
とほほです。
○道交法 第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。 一 略 一の二 第七条(信号機の信号等に従う義務)、第八条(通行の禁止等)第一項又は第九条(歩行者用道路を通行する車両の義務)の規定に違反した車両等の運転者 一の三~十五 略 2 過失により前項第一号の二、第二号(第四十三条後段に係る部分を除く。)、第五号、第九号、第九号の三又は第十二号の三の罪を犯した者は、十万円以下の罰金に処する。 |
2 簡易裁判所では、最底辺だった。
仕方がないので、簡易裁判所に出頭したわけですが、簡易裁判所、大繁盛?ですよ。
駐車場には、ボロい軽トラから、格好いい外車までズラリと並んでますよ。
で、待っている間、聴くつもりはないのに、色々と聞こえてきまして、まあ大抵は、スピード違反か駐禁なんですが、駐禁で赤切符って、「お前、どんだけ横着やねん!」と思いますが…
でも、まあ、スパッとスピード違反の金払って外車で帰って行った格好いい兄ちゃんを頂点とすると、電車で出頭してきたチャリの信号無視なんて、最底辺ですわ…
そして、最底辺の私は、まず、説教を聴かされた上に、始末書を書かされ、「3年以内に再犯すると【講習】だからね。」と釘を刺されて放免されたのでした。
この【講習】というのは、道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)第41条の3の危険行為をやらかした自転車運転者に課される道交法第108条の3の4の自転車運転者講習のことで、この講習をバックレてしまうと、道交法第120条第1項第17号に該当し、5万円以下の罰金になります。
○道交法 (自転車運転者講習の受講命令) 第百八条の三の四 公安委員会は、自転車の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反する行為であつて道路における交通の危険を生じさせるおそれのあるものとして政令で定めるもの(次条において「危険行為」という。)を反復してした者が、更に自転車を運転することが道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認めるときは、内閣府令で定めるところにより、その者に対し、三月を超えない範囲内で期間を定めて、当該期間内に行われる第百八条の二第一項第十四号に掲げる講習(次条において「自転車運転者講習」という。)を受けるべき旨を命ずることができる。 ○道路交通法施行令(昭和35年政令第270号) (危険行為) 第四十一条の三 法第百八条の三の四の政令で定める行為は、自転車の運転に関し行われた次に掲げる行為とする。 一 法第七条(信号機の信号等に従う義務)の規定に違反する行為 二~十五 略 ○道交法 (講習) 第百八条の二 公安委員会は、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる講習を行うものとする。 一~十三 略 十四 自転車の運転による交通の危険を防止するための講習 2~4 略 第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金に処する。 一~十六 十七 第百八条の三の四(自転車運転者講習の受講命令)の規定による公安委員会の命令に従わなかつた者 2 略 |
3 これって、おかしくないですか?
放免されたので、まあ、おとなしく帰りはしたのですが、これって、おかしくないですか?
だって、再犯者であっても、教習を受ける義務があるだけで、しかも、その教習をサボったところで、罰金5万円
ところが、初犯者は、いきなり、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金、適用までの間に教習なんてないし、罰金よりも遥かに厳しい懲役刑まである。もちろん、再犯者にも道交法第7条は適用されますが、実際は、「特別法は一般法を破る」の格言どおり特別の条項である道交法第108条の3の4が適用されます。
おかしいですよね、初犯より再犯の量刑が軽いなんて、あり得ないですよ。
さらに言うと、自転車よりも遥かに危険な自動車の信号無視は、2点の反則(青切符)です。
つまり、これは、道交法の改正(第百八条の三の四の差し込み)時のミスなんですよ。本来、自転車運転者講習の制度を創ったときに、例えば、自転車の危険運転注意票とか初犯者用の規定を設けておくべきでした。
だから、仮に、私が、おとなしく説教を聞かず、比例原則に違反しているとして、裁判で道交法第119条第1項第1号の2の該当性を争ったとしても、容易には負けないわけです。(行政書士試験の受験生の人は、この理屈、分からないとマズイですよ。)
とはいえ、そんなことは、面倒くさいのでしませんでした。
もっとも、定年で自由になったら、やってもいいかなと思っていますが…
で、今朝も、本件交差点を、しっかり観察したのですが、いつもどおり、車も人も全然往来しておらず、当然、お巡りさんもいません。
老人の数少ない楽しみのためにも、お巡りさんには、頑張ってほしいものです…
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